「坊主頭が鉛のように重い」
統合失調症を患った伊知郎は、デイケア施設で無為に過ぎていく時間に絶望していた。
そんなとき、社会復帰をめざす希望として、障害者技能競技大会、通称「アビリンピック」の存在を知る。
伊知郎は病気を馬鹿にする弟の弐郎や父に、「お前のような奴が大会に出ても意味が無い」と
罵倒されながらも、すがるようにしてプログラミングを学び、地区大会へ出場する。
この日を境に、伊知郎の人生は前進するはずだったのだが……。
序章 具合が悪い!頼むから休ませろ!
第1章 もう五年もまともに仕事してないでしょ、どうするの
第2章 何も生産しない人生なんて生きてる意味なんかない
第3章 あなた、いつも僕たちのこと馬鹿にしてるでしょ?
第4章 人を狂わせるまで追い込んだお前らに未来なんてないからな
第5章 いつだって機会なんてものは一度しかないんだ
第6章 六年間、ずっと夢をみていた
高井弐郎
終章 ここは決して人生の終着点じゃない
佐久本庸介
山梨県甲府市出身、在住。
19歳で統合失調症を発症。闘病を続けながら創作活動を行う。
第1回CRUNCH NOVELS新人賞で大賞を受賞。
2015年、『青春ロボット』にて作家デビュー