「3.11、あの日から短歌を詠み続けてきた人たちがいる。
自分の心の内を吐き出して、呟き叫んだ、五・七・五・七・七。
みんな短歌(うた)を読むことで生き抜いてきた。
この三年間の日記を三十一文字で綴るように」
NHKドキュメンタリー「3.11万葉集」は、オンエア後、大きな反響を呼んだ。
夫を目の前で津波にのまれ、今は仮説住宅で一人暮らす妻がいる。
三十年間勤務した福島第一原発を辞め、帰ることができなくなった我が家に正月の門松を飾る男がいる------。
岩手・宮城・福島へ、短歌を探す中、言葉の一語一語に込められた
詠み人たち一人一人の思いが胸に迫る、100時間を超える取材を書籍化。
はじめに 「旅へ」
第1章 詠み人知らずたち
仮設とムンク
何で短歌なんだろう
閖上の女
花の種子撒きしのみ
フクシマにて
無にして空の日々
僕とテレビと3.11
第2章 おかへり みんな
文芸部の女生徒たち
初めて作った五七五七七
がさがさの唇
逆メガホン
死化粧
ふるさとは
命の音
そして3.11
おわりに 「自分が泣ける普遍のこと」
玄真行
1958年東京都出身。テレコム・ジャパン、クリエイティブネクサスを経て、フリーディレクターへ。
「台湾万葉集」「巨鯨に挑む」「かあちゃんは好敵手〜棋士・藤沢秀行と妻モト」「48時間の約束〜埼玉・中央児童相談所の闘い」「課外授業ようこそ先輩~福島智・みんな生きていればいい」「新日本風土記~花火」などを演出。ギャラクシー賞、ATPドキュメンタリー最優秀賞、日本賞(国際賞)グランプリなど受賞。