1970年代からわずか十数年で、日本社会は『運命共同体』から『消費社会』へと大きく移り変わった。もてはやされる人間像は、『偉い人』から『かっこいい人』へ、また人々の平等を保障するものも、『宗教』から『お金』へと変容した。この目まぐるしい価値観の変化についていけず、苦しむ若者も多かった。
そして、グローバル経済によって主役が国家から企業へと交代し、『ポスト消費社会』が生まれかけている現在、再び価値観に大変動が起きようとしている……。
このような転換期にあっては、人はただ歴史のうねりに翻弄されるしかないのか? ――著者は、時代を動かしている力の正体を見定めずに、小手先の改革を行っても意味がないと警鐘を鳴らす。本書は、学者の視点ではなく一個人の実感をもとにこの40年の歴史を検証し、現在起こりつつある価値観の変容を予測する異色の評論となっている。
栗田哲也
駿台英才セミナー講師。1961年、東京生まれ。東京大学文学部中退後、おもに数学教育関連を中心にした予備校、塾、出版社に在籍。現在は、数学教育、教育・社会一般について執筆活動を行う。著書に『数学に感動する頭をつくる』『数学ができるようになる算数ドリル』『地頭力も合格力も鍛える最強ドリル 図形』(以上、小社刊)、『数学による思考のレッスン』(ちくま新書)、『栗田哲也先生のスピードアップ算数』(文一総合出版)、『暗算力を身につける』(PHPサイエンス・ワールド新書)などがある。