『ビッグクエスチョンズ』は、人類の歴史を通して、探究心旺盛な人々を悩ませてきた科学や哲学の大疑問に対し、一流の専門家が回答するシリーズです。「親しみやすく簡潔に」という編集方針により、その分野を概観しつつ、最新の知見を身につけることができます。
天文学の疑問は、たいていが『ビッグクエスチョン』です。最も単純な問いかけさえ、さまざまな研究の発端となり、深遠な答えを導き出す可能性があります。
その回答が、さらに驚くべき発見につながることも多く、このことは天文学の大きな魅力のひとつといえます。
何十億光年もの空間と何十億年もの時間にわたる圧倒的な宇宙の大きさや、その説明に伴う想像を絶するほど大きな数は、それだけで畏怖の念を起こさせます。
この本は、宇宙の不思議について人々の心の中に沸き起こる疑問に答えていきます。クエーサーやパルサーなど、奇妙でかすかにしか見えない天体も取り上げるし、火星や木星など近くにある惑星についても詳しく見ていきます。
ただし、すべての問に対して完璧な答えが出せるわけではありません。専門家でさえ、正確なところはわかっていないものも宇宙にはたくさん存在します。例えば、ブラックホールの研究にはあらがいがたい魅力があるものの、満足な答えを出す能力がわれわれ人類にあるかどうかさえ現時点ではわかりません。
しかし、『ビッグクエスチョン』に答えようとしていくことは、広大な宇宙と向き合い、その中での自分たちの存在を確認する上で重要な手がかりを与えてくれます。また、われわれが宇宙について考える際に感じる不思議な気持ちを、多少なりとも解明してくれることにもなるはずです。
スチュアート・クラーク
サイモン・ブラックバーン
ケンブリッジ大学の哲学教授ならびにノースカロライナ大学の哲学研究教授を務める。現代の最も著名な哲学者の1人であり、ビッグクエスチョンズシリーズの編者でもある。
水原文
技術者として通信キャリアやメーカーに勤務した後、フリーの翻訳者となる。震災を機に埼玉県から宮城県へ転居。訳書に『1びょうでわかる世界の「今」』『ビッグクエスチョンズ 宇宙』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『Cooking for Geeks』(オライリー・ジャパン)など。フランス車(シトロエン)とコントラクトブリッジ(カードゲーム)、お茶(表千家)を愛してやまない。日夜Twitter(@bmizuhara)に出没している。