村はずれの、沼地ほとりに棲みついた一匹のかえる。
しかし、村人たちからは「気持ち悪いよそ者がえる」として、嫌われていた。
やがて、村が大かんばつに襲われると知ったかえるは、思った。
「まもなく、田畑は乾き、井戸は枯れ、村じゅう、死に絶えてしまうことだろう。ざまあみろだ!」
しかし、かえるはこうも思った。
「だけど、もし、おれの雨乞いの歌で、日照りから村を救うことができたなら……」
サトシン
塚本やすし
1965年東京都生まれ。絵本作家。主な絵本に『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』『とうめいにんげんのしょくじ』『やきざかなののろい』『このすしなあに』『はしれ!やきにくん』『おでんしゃ』『アイススケートペンギン』『いきものとこや』、谷川俊太郎の詩の絵本『そのこ』『しんでくれた』『うんこ』、エッセイに『猫とスカイツリー 下町ぶらぶら散歩道』など、多数。