「筆記表現法」とは――
ストレスに感じた出来事や、そのときの自分の感情を
15分程度じっくり書き出す方法です。
ストレスを客観的に見つめ直すことで
自律神経のバランスを整えて、不眠症状の改善が期待できます。
①寝る前に、15分くらいの時間をかけて、イヤなこと、つらかったことを日記に書く。
②日記を閉じたら「今日はもうおしまい」の合図。気持ちを切り替えて寝る。
③翌日、昨晩の「眠りの質」はどうだったか、「睡眠日誌」につける。
④1カ月に1回くらいの割合で「振り返り」を記録。ひと月の間に、改善できたことがあるかを確認する。
なぜ「日記」なのか――
「眠れない」と感じている方は、なんらかの不安をかかえていることが多いといえます。また、今日1日の出来事のなかで、「楽しかったこと」とか「よかったこと」よりも、「悪かったこと」や「気になったこと」「後悔したこと」などが心に残ってしまう傾向があります。そういったことがずっと頭のなかをかけめぐってしまい、「なかなか眠れない」という状態になるのです。
昼間は、いろいろなことで忙しくしているので、あまり気にならなかったことでも、夜になって静かになると、いろいろなことが思い起こされてしまいます。そうなると、(専門的には、自律神経のなかの交感神経が優位に立つといいますが)なかなか寝つけなくなってしまうのです。
そこで、気になっていることがいろいろある場合には、それらを寝る前に日記に書いてみましょう。自分が気になっていること、悩んでいることなどを、いったん書き出してみて、「今日はこれでおしまい」「また明日になって考えよう」とケリをつけてしまいます。もう今日の1日は修了したので、寝床まで悩みごとを持ちこまない!と区切りをつける行為が、眠るためにはとても効果的なのです。
はじめに
「眠れない」人の特徴とは
なぜ、「書くこと」が寝つきをよくするのか?
どのくらい書けばいいのか?
なにを書けばいいのか?
「筆記表現法」とはなにか?
「睡眠日誌」をつけてみよう
「自分の眠り」は自分ではよくわからない
夢を見るのは眠れている証
日常生活に支障があり場合は医療機関へ
「筆記表現法」と「睡眠日誌」を両輪で動かそう
この日記の使い方
「筆記表現法」の基本的編
「筆記表現法」の応用的編
「筆記表現法」に過度な期待はしないこと
「睡眠日誌」のつけかた
「振り返りページ」のつけかた
よりよい眠りを実感するために
内村直尚
久留米大学 副学長 医学部長
日本初の睡眠障害専門外来を開設した睡眠障害治療・研究のエキスパート。精神科外来の現場では、睡眠障害だけでなく、感情障害・統合失調症・てんかん・認知症・アルコール・心身症・PTSDなど専門領域まで幅広く受け入れている。また、児童思春期の心の問題から緩和ケアまで幅広い臨床をおこなっている。福岡県出身で実家は1800年続く神社、自身も神主免許を持っている。日本睡眠学会理事。